多発性骨髄腫という病気⑪

親の病気
この記事は約5分で読めます。

母が多発性骨髄腫(血液のガン)という、非常に完治しにくい病気になってから体調不良と圧迫骨折を繰り返しながらも約10年生き続けている闘病記録を息子が思い出しながら書き綴っています。同じ病気になられた方やご家族などの参考としていただければ幸いです。
よろしければ多発性骨髄腫という病気①からお読みくださいね。

にほんブログ村

まるで『不死鳥の如く』

多発性骨髄腫になり腰椎や頸椎の圧迫骨折を繰り返しながらも『不死鳥の如く』生き続ける母の姿には家族だけでなく医師・看護師や周囲の方々みんなも驚くばかりでした。すでに後期高齢者(75歳以上)の域に突入し、腰が曲がってやせ細っているおばあさんです。病気の影響もあり、歩行速度や動きもスローですが、身の回りのことは全て自分でできるというのは家族としては本当にありがたいことです。
しかし、圧迫骨折は治癒したとしても多発性骨髄腫という病気は完治しないため、油断すればまた骨折してしまう可能性は十分にあります。そこは以前と同様に注意が必要である状況は変わりません。
そして、不幸中の幸いではないですが、圧迫骨折した時は多発性骨髄腫の状態の目安のひとつになっているIgA(免疫グロブリンA)の数値が基準値内で収まっている比較的元気なときだったということです。もし、多発性骨髄腫特有の『疲れる、しんどい、寝込む』という症状が出ている時に圧迫骨折をしていれば、骨折の回復状況も良くなかったかもしれません。それにしても、この年齢になって血液のガンである多発性骨髄腫という大きな病気をかかえながら、圧迫骨折を繰り返してもくたばることなく不死鳥の如く蘇る母の生命力は凄いなと驚かされるばかりです。

今度はIgAの数値が上昇

複数個所を同時に圧迫骨折するという試練を乗り越え、歩行器も使用せずに自力歩行が可能になったのは良かったのですが…。今度はまたIgAの数値が上昇し始め、月一回の血液検査でも基準値を大きく上回るというような状態が続き始めました。当然、母は「しんどいなぁ」と言って昼間でもぐったり寝込んでしまう日が多くなりました。寝込むといっても布団で寝るのではなく、ソファーなどにもたれてぐったりです。当然、母にとっては『ちょっとしんどいから休憩…』くらいの感じだとは思うのですが。家族からみても、だいぶん調子が悪くなってそうだなと会うたびに思うようになっていました。
相変わらず、月一回の外来受診には父が付き添い、その結果を必ず父から聞くようにしていました。父からは『IgAの数値が基準値を越えているけど安定して横這いだからこのまま様子を見ましょうかと医師に言われた』というだけでしたので私は心配しながらも、医師の説明に納得?せざるを得ませんでした。私も意見があるなら父にばかり任せておくのではなく、母に付き添って病院へ行って直接、医師とお話をさせていただいたほうが良いのかもしれないと思いが強くなり、次の月一の診察時には私が付き添うことを決めました。それまでの間、母の病状は変わらず「しんどいなぁ」という日々が続いておりました。

医師から聞かされたことは

この日、母に付き添って担当医師とお話しさせていただきました。
IgAの数値は相変わらず高いままでしたので医師に「先生が以前に『新しい薬がいろいろ出てきている』と仰られていましたが、その新しい薬というのは母にはもう無理なのでしょうか?家でもぐったりしている時が多く、しんどそうなので」と。すると、医師は私だけを診察室に残すような形で母と付き添いの父にも退出するように求めました。
医師は本人(母)と父を前にして話をすることを避けられたのでしょう。
医師:「以前、ご本人とお父様に今後の治療方針について尋ねたところ、前みたいに入院(一ヶ月)して化学療法をするのはしんどいし、このまま様子を見ながら痛みを緩和する治療を希望されていましたのでね」と。
私:「あっ、そうだったのですか。失礼しました。母と父がそのように話をさせていただいてたのを知りませんでした。私が実情を知らずに早とちりで失礼なことを言ってしまい申し訳ございませんでした」と平謝りし、一度診察室を退出しました。そして、数分後…もう一度私だけが診察室に呼ばれました。
医師:「先ほど、痛みを緩和していく治療という話をしましたが、それだけではガンの進行は止めることは出来ません。やがて天に召されるような日が来るようになります。もし、本人やご家族が希望されるのであれば、新しい薬の化学療法を試してみることも出来ますが。せっかく、息子さんも今日来てくれて、そういうお話が息子さんから聞けたので、どうでしょうか?」
私:「ありがとうございます。もう、母と父にも化学療法の話をしていまして、母は『今より良くなるのであれば、入院してでもいいから新しい薬をしてほしい』と確認は取れています」

親の病気には子どもが付き添うべき

この度の医師との会話で分かったことは、医師の説明を父も母も完全には理解できていなかったということです。医師と両親との間でどのようなやり取りがあったのかは分かりませんが、母は化学療法を拒否したのではなく、なるべくなら入院せずに、痛みが治まるようにしてほしいという気持ちだったと思います。それを医師は、入院(化学療法)をしないのであれば、自宅に居ながら痛み止めの薬で緩和ケアをするというふうに解釈されたのではないでしょうか。これはあくまでも私の想像ですが。
・化学療法(入院が必要)➡抗ガン剤でガンの進行を抑える期待ができる。(完治はしないけど)
・緩和ケア(入院なし)➡痛み止めで苦痛を和らげること。根本的にガンを治療するのではない。
※解釈が違っておれば、ご指摘願います
この時、両親はすでに後期高齢者(75歳以上)でした。医学への理解力も衰えてきているのかもしれませんね。親の病気や怪我などにも、子どもが付き添って医師・看護師の説明を直接聞いて理解したうえで治療方針なども決めていくことが親孝行でもあります。医師の説明には理解(納得)できるまで聞くことが大事であると学ばせていただきました。決して「ハイ、ハイ。分かりました」と適当に返事をすることがないようにしたいものです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました